公社だより

分収造林推進連絡会議現地検討会の開催について(2019年01月)

 ふくしま緑の森づくり公社、森林整備センター、福島県の三者は、分収造林事業の円滑な推進を図るために、平成27年8月に協定を締結し、連絡会議の開催、会津地域での臨時木材市への共同出材、現地検討会などを行っています。


 今年度は、当公社が事務局を務めており、去る平成30年10月31日福島市庭坂地内において3者による「列状間伐」の現地検討会を開催しました。

 列状間伐は、作業効率が高く森林整備の低コスト化に繋がることから、県内においても国有林や森林整備センターを中心に実施箇所が拡がっていますが、従来の定性間伐に比べるとまだ一般的ではなく、現場では手探りで実施している状況です。


 今回は、列状間伐を実施中の公社造林地「中ノ堂」地区と、過去に列状間伐を実施した森林整備センター「清水原」地区を見比べながら、間伐効果の検証や造林補助事業における樹冠疎密度の関係などの視点から検討を行いました。

 実施中の公社造林地は、林齢23年~30年生、5m幅伐採15m幅残の間伐率25%とし、プロセッサーによる造材、フォワーダによる搬出を行っています。

 実施後の森林整備センター造林地は、林齢49年生、5m幅伐採15m残の間伐率25%で列状間伐を行い、実施から8年~9年が経過しています。


 両者は同じ基準で列状間伐を行っていることから、過去に実施した「清水原」地区の樹冠疎密度を調査したところ、調査箇所の樹冠疎密度は10分の8.4となっていました。

 調査箇所は森林整備センターの事業地であり、造林補助事業とは直接関係はないものの、国の補助基準である「伐採後、樹冠疎密度が10分の8以上に回復していること」がほぼ確認できました。(※樹冠疎密度:樹冠投影面積を森林面積で割った値)

 このことから、列状間伐の伐採幅が5m程度であれば樹冠疎密度は10分の8以上に回復する可能性が高いことと、さらに2回目の列状間伐を計画する場合には、樹冠疎密度を考慮すると十数年の間隔を置く必要があることが推測されました。


 また天然下種更新により、高木性の広葉樹が1ヘクタール当たり500本程度生育しており、将来の森林機能の維持に結びつく間伐の効果を確認することができました。

 今回の現地検討会を参考に、今後も樹冠疎密度を考慮したうえで、搬出要件等が合致する現場においては、低コスト化に繋がる列状間伐を実施していきたいと考えています。


        

                

     

                   列状間伐実施中の「中ノ堂」地区                               列状間伐実施後の「清水原」地区  




       


                          現地検討状況






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